第211話

エイラがカフェの扉を押し開けると、頭上のベルが控えめに鳴った。

一階にいる客は数えるほどしかいない。バリスタがレジから顔を上げた。

「いらっしゃいませ。お待ち合わせですか?」

「セバスチャン・ヘイル」

バリスタは階段のほうへ顎をしゃくった。「二階にいらっしゃいます」

アルファのセバスチャンは午前中、二階の部屋を丸ごと貸し切っていた。

エイラは階段を上がり、窓際で待つ彼を見つけた。四年前、彼がプロポーズしたのと同じ隅の席だ。

彼は彼女の姿を認めるなり立ち上がった。

チャコールグレーのスーツは寸分違わず体に合い、髪はきちんと撫でつけられている。見慣れた笑みが口元に浮かんだ。取締役会か格式...

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